№10.遺産分割の調停と審判とは?スムーズな相続解決に向けた手続きを徹底解説!

query_builder 2025/06/18
遺産分割 相続手続き(基本・相続後すぐ) 相続手続き(税務署・裁判所)
№10.遺産分割の調停と審判とは?スムーズな相続解決に向けた手続きを徹底解説!

親族が亡くなった後、相続財産の分け方について話し合うのが「遺産分割協議」です。しかし、意見が対立してまとまらないケースも少なくありません。そんなときに選択肢となるのが「調停」や「審判」という家庭裁判所を介した手続きです。

今回の記事では、遺産分割協議がまとまらない場合の対応策から、調停・審判の違いや進め方、Q&Aまで、なるべくわかりやすく解説します。

 

遺産分割の「調停」と「審判」>における手続きのポイント

いつまで

遺産分割が整わない場合は速やかに

どこで

家庭裁判所

1.遺産分割協議がまとまらないとどうなる?

遺産分割協議がまとまらない場合、スムーズな相続手続きが難しくなります。ここでは、遺産分割協議の基本から、典型的なトラブル例、さらに次のステップについて解説します。

(1) 遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人同士でどのように分けるかを話し合い、合意を形成する手続きのことを指します。

相続人が複数いる場合、遺言書がなければ、法定相続分に基づいて自動的に財産が割り振られるわけではなく、具体的に「誰がどの財産を取得するのか」を協議して決める必要があります。この協議には、相続人全員の参加と合意が不可欠であり、1人でも欠けると協議は無効になります。

 

協議の対象となる財産には、不動産、預貯金、株式、自動車、貴金属など多様な資産が含まれます。協議が成立した際には、内容を書面にまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印することで法的効力を持つ文書となります。

(2) 協議がまとまらない典型的なパターンとは?

協議がまとまらない原因としては、次のようなパターンが考えられます。

 

✓特定の相続人だけが有利な主張をする

✓遺産の評価額に対する認識のズレ

✓生前贈与の有無に関する争い

✓感情的な対立や不信感

(3) 協議がまとまらない場合に選択される「調停」と「審判」

もしも、相続人間で合意が得られない場合には、家庭裁判所に遺産分割の「調停」を申し立てることになります。「調停」でも解決できない場合には、「審判」手続きへ移行し、裁判所が分割方法を決定します。

2.遺産分割「調停」とは?手続きの流れ等を確認

遺産分割調停とは、相続人同士で遺産の分け方について合意できない場合に、家庭裁判所の調停委員が間に入り、話し合いを行う手続きです。家庭裁判所の調停委員が関与することで、公平な立場からの合意形成が可能となります。

ここでは、手続きの流れと必要書類等を詳しく解説します。

(1) 調停の申し立てができる人

遺産分割調停の申し立てができる人は、相続人および包括受遺者で、具体的には次のような人が該当します。

 

✓相続人:

法定相続人(被相続人の子ども、配偶者、兄弟姉妹など(相続関係による))

✓包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ):

遺言で「財産の割を与える」「すべてを譲る」などと指定された人


(2) 調停にかかる期間と費用の目安

遺産分割調停にかかる期間はおよそ6か月程度です。

また、遺産分割調停の申し立て費用は主に次のとおりです。

(3) 調停の進め方

遺産分割調停の手続きは以下の流れで進行します。

 

①家庭裁判所に調停を申し立て

②第1回調停期日が指定される

③調停委員を交えた話し合い

④合意に達すれば調停成立

⑤合意できなければ審判へ移行

(4) 調停に必要な書類と提出先

遺産分割調停の申し立て時には、次のような書類が必要です。

 

✓相続関係説明図

✓被相続人の戸籍謄本一式

✓相続人全員の戸籍謄本・住民票

✓不動産登記事項証明書

✓財産目録

 

これらの書類の提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する「家庭裁判所」になります。

3.調停が成立しない場合の「審判」とは?手続きの流れ等を確認

遺産分割「審判」とは、相続人同士の話し合い(遺産分割「調停」)がまとまらなかった場合に、家庭裁判所が法律に基づいて遺産の分け方を決定する手続きです。ここでは手続きの流れ等を詳しく解説します。

(1) 調停が不成立になった場合の自動移行ルール

遺産分割調停が成立しなかった場合、家庭裁判所は自動的に審判手続きに移行します。相続人同士の同意は不要で、裁判所が強制的に移行の判断を行います。

(2) 審判と裁判との違いとは?

遺産分割審判では、裁判官が各相続人の主張や証拠をもとに判断し、遺産分割の内容を一方的に決定します。一方、裁判(訴訟)は、当事者同士が主張・立証を行い、公開の法廷で判決が下される対立型の手続きです。

遺産分割審判では、裁判官が一方的に決定することから、通常の裁判と比べて、迅速な解決を図ることができます。

(3) 審判にかかる期間と費用の目安

遺産分割審判にかかる期間はおよそ6か月〜1年程度です。

また、遺産分割審判にかかる費用は「調停」とあまり変わりませんが、専門家意見料などが必要になるケースがあります。

 

遺産分割審判の申し立て費用は主に次のとおりです。

収入印紙:1,200円程度

郵便切手:1,0003,000円程度

専門家意見料や鑑定費用(必要な場合):10万円程~

(4) 審判の進め方

遺産分割審判の手続きは以下の流れで進行します。

 

①審判へ自動的に移行

②裁判所における審理開始

③財産内容の調査・評価

④審問(意見聴取)

⑤審判書の送付(審判結果の通知)

⑥審判の確定

4.調停と審判の違いは?どちらが有利?

遺産分割「調停」と遺産分割「審判」にはそれぞれに特徴があります。それぞれの特徴や違いや下表で比較します。

 

<調停と審判の比較表>

項目

調停

審判

主体

当事者同士の話し合い

裁判所が判断

コントロール権

当事者にあり

裁判所にあり

費用

比較的安い

少し高くなる場合も

時間

比較的早い(数ヶ月)

長期化することも

メリット

柔軟な解決が可能

最終的な解決が得られる

デメリット

合意できないと進まない

不満が残る場合がある

(1) 相続人の感情面を重視するなら調停

相続人の間で感情のしこりを残さず、今後の関係性を考えるなら、まずは調停の選択を目指すことをおすすめします。

(2) 早期決着を重視するなら審判

一刻も早く相続手続きを終えたい場合には、審判による強制的な判断を求めることも選択肢になります

5.専門家に相談すべきタイミングとは?

調停・審判は専門的な知識が必要なため、適切なタイミングで専門家に相談することが重要です。

(1) 弁護士に依頼するべきケース

次のような場合には、弁護士への相談が推奨されます。

 

✓強い対立がある

✓複雑な財産構成(非上場株式など)がある

✓調停や審判を有利に進めたい

(2) 税理士に依頼するべきケース

税務面でのアドバイスが必要となる次のような場合には、税理士への相談をおすすめします。

 

✓相続税の試算と申告

✓不動産や株式の評価

✓遺産分割に伴う税負担シミュレーション

(3) 調停や審判前に準備しておくべき事項

調停や審判前には、次のようなことを準備しておくことが望まれます。

✓財産リストの作成

✓相続人全員の戸籍収集

✓過去の贈与履歴確認

✓争点整理と希望内容の明確化

6.よくある質問(Q&A)

最後に遺産分割調停・審判に関するよくある質問をまとめました。これらを確認することで、不安を解消することができます。

Q1 遺産分割調停は弁護士がいないと無理ですか?

必須ではありませんが、複雑な場合や不安な場合は依頼が安心です。

Q2 調停委員はどんな人が担当するの?

法律・不動産・福祉の専門家が選任されるのが一般的です。

Q3 調停で兄弟と顔を合わせたくない場合はどうすればいい?

別々の待合室が用意されることが多く、同席しないよう配慮されます。

Q4 審判で不服がある場合、どう対処できる?

家庭裁判所に「即時抗告」が可能です。ただし期限は2週間以内なので注意が必要です。

7.まとめ

以上今回は、遺産分割協議がまとまらない場合の対応策から、調停・審判の違いや進め方、Q&Aまで、なるべくわかりやすく解説いたしました。

 

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所を通じた「調停」や「審判」による解決が必要になります。調停は相続人同士の合意を目指す柔軟な手続きであり、裁判所の調停委員が中立的な立場で話し合いをサポートします。一方、調停でも合意に至らなければ審判に移行し、裁判官が法的な観点から一方的に分割方法を決定します。

 

調停は感情的な対立を和らげ、相続人同士の関係を維持しながら解決できる点がメリットですが、合意に至らなければ進まないというデメリットもあります。一方、審判は強制力のある決定がなされるため早期解決が期待できる反面、不満が残る可能性もあります。

 

手続きには戸籍謄本や財産目録などの各種書類が必要で、収入印紙や切手代などの実費は数千円から1万円程度と比較的低額です。しかし、不動産評価や専門家の関与が求められるケースでは、別途鑑定費用や弁護士報酬が発生する可能性があります。調停や審判を有利に進めるためには、事前準備や主張の整理が不可欠です。

 

相続トラブルを未然に防ぎ、スムーズに手続きを進めるには、行政書士・税理士・弁護士など専門家への早期相談が非常に効果的です。

 

「江東相続あんしんサポートセンター」では、相続協議から調停・審判対応までトータルにサポートしておりますので、お困りの際はぜひご相談ください。

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江東相続あんしん手続きサポート

住所:東京都江東区越中島1-3-1 111

電話番号:03-6824-7701

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