№6. 遺言書の検認と開封について詳しく解説!
遺言書は、亡くなった人(被相続人)が残した最後の意思を示す重要な書類です。そのため、遺言書の種類によっては、偽造や改ざんを防止するために家庭裁判所での検認手続きを行った上で開封しなくてはなりません。
仮に検認を行わず、勝手に遺言書を開封してしまうと罰則が科される可能性もあるため、正しい手続きを知っておくことが重要です。
そこで今回は、「遺言書の基礎知識」や「検認が必要となる遺言書の種類」、「遺言書の検認・開封と内容確認の手順」などについて詳しく解説します。
<遺言書の検認と開封>における手続きのポイント
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いつまで |
概ね2週間程度で |
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どこで |
家庭裁判所 |
1.遺言書の基礎知識
初めに遺言書の基礎知識として、「遺言者」や「検認」、「検認の目的」、「検認をしない場合のリスク」などを確認します。
(1)遺言書とは?
遺言書とは、亡くなった人(被相続人)が自分の死後に財産をどのように分配するか等、最後の意思を示した重要な書面です。
遺言の方式としては、次の3種類が認められています。
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✓自筆証書遺言: 遺言者が自分で全文を手書きし、署名・押印する形式の遺言書で、2020年以降は、一定の条件を満たせば法務局に預けることができます(自筆証書遺言保管制度)。 ✓公正証書遺言 公証役場で公証人が作成する改ざんリスク等がない最も安全な遺言書です。 ✓秘密証書遺言 遺言者が作成し、公証人と証人の前で封印する形式の遺言書で、公証人は内容を確認しません。 |
(2)遺言書の検認とは
遺言書の「検認」とは、家庭裁判所が遺言書の形式を確認し、内容の改ざんや隠匿を防ぐための手続きです。
ただし、この「検認」手続きは、遺言書の効力そのものを確定する手続きではなく、法的な有効性を判断するものではない点に注意が必要です。
(3)検認の目的
遺言書の「検認」の目的は、主に次の3つが挙げられます。
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①遺言書の偽造や変造を防ぐ ②遺言書の原本を保存し、紛失を防ぐ ③相続人に対して遺言書の存在を明らかにする |
(4)遺言書の検認をしない場合のリスク
遺言書の検認を怠ると、以下のようなリスクと影響があります。
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リスク |
具体的な影響 |
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法的効力の不明確化 |
遺言書の形式が不備とされ、相続争いに発展する可能性がある |
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遺言書の偽造・変造 |
相続人間のトラブルが増え、不正が生じるリスクがある |
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罰則の適用 |
検認が必要な遺言書を勝手に開封すると5万円以下の過料が科される |
2.検認が必要となる遺言書の種類
遺言書の種類によって、検認が必要なものと不要なものとがあります。
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遺言書の種類 |
検認の要否 |
作成の特徴 |
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自筆証書遺言 |
通常 |
必要 |
自筆で作成し、遺言者自身が保管するため、家庭裁判所での検認が必要 |
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法務局保管 (自筆証書遺言書保管制度) |
不要 |
自筆で作成し、原本は法務局で保管するため、家庭裁判所での検認が不要 |
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公正証書遺言 |
不要 |
公証人が作成し、原本は公証役場で保管するため、家庭裁判所での検認が不要 |
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秘密証書遺言 |
必要 |
自筆で作成し、内容は秘密、遺言者自身が保管するため、家庭裁判所での検認が必要検認が必要 |
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自筆証書遺言(通常)と秘密証書遺言は、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。
特に自筆証書遺言(通常)は、自宅などで保管されるケースが多いため、開封前に必ず検認を申請することが重要です。
3.遺言書の検認・開封と内容確認の手順
ここでは、遺言書が見つかった場合における、検認・開封と内容確認の手順について、遺言書の種類ごとに確認します。
(1)自筆証書遺言(通常)・秘密証書遺言の検認・開封と内容確認の手順
自筆証書遺言(通常)・秘密証書遺言を開封するには、家庭裁判所での検認手続きなど、次の5つのステップを踏む必要があります。
ステップ 1:遺言書の封印の有無を確認する
発見した遺言書が自筆証書遺言(通常)の場合、封印されているかどうかを確認します。秘密証書遺言の場合には、封印されています。
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封印されている場合 → 家庭裁判所での開封が必要 封印されていない場合 → そのまま検認手続きを進める(開封自体は自由) |
勝手に封を開けると5万円以下の過料が科される可能性があるため、「封があるか分からない」と感じた場合には、開封する前に家庭裁判所に相談することが重要です。
ステップ 2:家庭裁判所に検認を申立てる
遺言書を発見した人(相続人または受遺者)は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てを行います。
<申立て方法>
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✓家庭裁判所に「家事審判申立書」を提出する (参考サイト:遺言書の検認の申立書 | 裁判所) ✓郵送での提出も可能(事前に裁判所へ確認) |
<必要な書類>
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✓家事審判申立書 ✓遺言書の原本(封印されたまま提出) ✓遺言者の死亡届または戸籍謄本(死亡の確認のため) ✓相続人全員の戸籍謄本(関係性の確認のため) ✓収入印紙(800円程度) |
ステップ 3:家庭裁判所から検認期日の通知を受け取る
申立て後、家庭裁判所が相続人全員に検認期日(開封日)を通知します。
<ポイント>
|
✓検認期日は1ヶ月〜2ヶ月後に指定されることが多い。 ✓相続人には、裁判所から「検認通知」が送られる。 ✓申立人(遺言書を発見した人)は原則として欠席できない。 |
ステップ 4:家庭裁判所での開封手続き
指定された検認期日に、家庭裁判所へ行き、裁判官の立会いのもとで遺言書を開封します。
<当日の流れ>
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①遺言書の封印状態を確認 ②裁判官が封印を開封(申立人や相続人が開封する場合もある) ③遺言書の内容を確認し、検認調書が作成される |
<ポイント>
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✓裁判所の指示に従い、勝手に開封しない。 ✓開封後、遺言書の内容は全員に共有される。 ✓遺言書の有効性を確認する手続きではないことに注意(検認=効力の確定ではない)。 |
ステップ 5:検認調書を受け取り、相続手続きを進める
検認が完了すると、裁判所から「検認調書」が交付されますますので、この書面を受け取り、相続手続きを進めていきます。
<検認後の主な相続手続き>
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✓遺言書で遺言執行者が指定されていない場合には、相続人全員で遺言内容を確認し、銀行口座の名義変更や解約、不動産の名義変更(登記)などの手続きを進めます。 ✓遺言書で遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者が遺言執行を開始します。 ✓必要があれば、税理士等に相談し、相続税の申告・納付などを行う |
(2)公正証書遺言の内容確認の手順
公正証書遺言は公証役場で作成されるため、検認・開封手続きは不要ですが、遺言書の内容を確認するにあたっては、次の4つのステップを踏む必要があります。
ステップ1:遺言書の所在を確認する
はじめに、公正証書遺言が作成されているかどうかを確認します。
遺言書の控え(正本・謄本)が見つかれば、手っ取り早いですが、見つからない場合は、公証役場に照会をする必要があります。
なお、複数の遺言書が存在するケースは意外と多いことから、自筆証書遺言が見つかった場合であっても、公正証書遺言が存在する可能性がある場合には、念のために公正証書遺言の確認もしたほうが良いとされています。
ステップ2:公証役場に遺言の有無を問い合わせる
公正証書遺言は、日本公証人連合会が管理する遺言情報管理システムを利用することで、存在の有無等をどこの公証役場でも確認することができます。
そのため、まずは、近くの公証役場で「公正証書遺言の有無」と「保管公証役場」を検索したい旨を申し出ます。
その際に、必要な書類は次の通りです。
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✓死亡した事実を証明する書類(例:除籍謄本) ✓相続人であること証明する書類(例:申出人(相続人)の戸籍謄本など) ✓請求者の本人確認書類(例:マイナンバーカードや運転免許証) |
ステップ3:公正証書遺言の「正本」を取得する
公正証書遺言を保管する公証役場が分かると、原則として、保管公証役場に赴いて、公正証書遺言の「正本」を取得します。ただし、保管公証役場が遠隔地である場合には、最寄りの公証役場で手続きをすることで、公正証書遺言の「正本」を郵送で請求することも可能です。
金融機関等で相続手続きを進める場合には、公正証書遺言の「正本」が必要となるため、公正証書遺言の「謄本」が手許にある場合であっても、「正本」の発行を行う必要があります。
なお、公正証書遺言の「原本」は公証役場に保管されており、遺言者や相続人には交付されません。
ステップ4:遺言書の内容を確認し、相続手続きを進める
公正証書遺言の内容について、次に事項を中心に確認し、相続手続きを進めていきます。
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✓相続人・受遺者の指定(誰が財産を相続するのか) ✓遺言執行者の指定(遺言を実行する担当者がいるか) ✓相続財産の内容(不動産、預貯金、株式など) |
ここで、遺言執行者は、遺言の内容に従って、次のような相続手続きを実行する役割を持ちます。
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✓相続財産の管理・処分 ✓預貯金の解約・名義変更 ✓不動産の相続登記 ✓相続人や受遺者への財産分配 |
遺言執行者がいる場合には、遺言執行者が主導して相続手続きを進め、遺言執行者がいない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てるか、もしくは相続人全員の合意を得て手続きを進めることとなります。
主な相続手続きは、「自筆証書遺言(通常)・秘密証書遺言の検認・開封と内容確認の手順」のステップ5をご覧ください。
(3)自筆証書遺言(法務局保管)の受取りの手順
自筆証書遺言書保管制度により、法務局に保管された自筆証書遺言については、通常の「自筆証書遺言」とは異なり、家庭裁判所での検認手続きは不要です。ただし、遺言者が亡くなった後に法務局から遺言書を受け取る必要があるため、次の3つのステップを踏むこととなります。
ステップ 1:遺言書の保管の有無を確認する
遺言者が法務局に遺言書を預けていたかどうかを確認するため、法務局に「遺言書情報証明書」の交付請求を行います。
<「遺言書情報証明書」の交付請求の必要書類>
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✓請求書 ✓死亡した事実を証明する書類(例:除籍謄本) ✓相続人であること証明する書類(例:申出人(相続人)の戸籍謄本など) ✓請求者の本人確認書類(例:マイナンバーカードや運転免許証) |
なお、法務局で保管する自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度)には「通知制度」があり、遺言者が指定者を登録(最大3名)していると、遺言者の死亡届を受け付けた市区町村から連絡を受けた法務局が指定者に対して、「遺言書が保管されている旨」が通知されます。
ステップ 2:遺言書の写しを取得する
法務局に遺言書が保管されている場合には、遺言書の写しの交付を請求します。
必要書類はステップ1の「遺言書情報証明書」の交付請求と同じです。
ステップ3:遺言書の内容を確認し、相続手続きを進める
上述の(2)公正証書遺言のステップ4と同じですが、書遺言の内容について、次に事項を中心に確認し、相続手続きを進めていきます。
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✓相続人・受遺者の指定(誰が財産を相続するのか) ✓遺言執行者の指定(遺言を実行する担当者がいるか) ✓相続財産の内容(不動産、預貯金、株式など) |
ここで、遺言執行者は、遺言の内容に従って、次のような相続手続きを実行する役割を持ちます。
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✓相続財産の管理・処分 ✓貯金の解約・名義変更 ✓不動産の相続登記 ✓相続人や受遺者への財産分配 |
そのため、遺言執行者がいる場合には、遺言執行者が主導して相続手続きを進め、遺言執行者がいない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申し立てを行うか、相続人全員の合意を得て手続きを進めていくこととなります。
4.検認と開封に関する注意点など
検認と開封に関する主な注意点は以下の通りです。
(1)遺言書の封がされていない場合には検認は不要?
封印されていない自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での開封義務はありませんが、検認手続きは必要です。
(2)遺言書を開封してしまった場合の取扱い
誤って遺言書を開封してしまっても、遺言の効力には影響しません。
ただし、罰則が科される可能性があるため、開封した場合はすぐに家庭裁判所へ申告しましょう。
(3)遺言書が複数ある場合の対応
複数の遺言書が見つかった場合は、最新の日付の遺言書が優先されます。
過去の遺言と内容が矛盾する場合は、相続人間でのトラブルを避けるため、専門家に相談することが推奨されます。
(4)検認によって遺言書の効力が認められるわけではない
検認はあくまで遺言書の存在を公的に確認する手続きであり、遺言の有効性を保証するものではありません。
遺言内容の有効性については、別途争いになることもあるため注意しましょう。
(5)申立人は原則として検認を欠席できない
検認手続きには、原則として申立人は出席する必要があります。
ただし、特別な事情がある場合、事前に家庭裁判所に相談することで代理人の出席が認められる場合もあります。
5.遺言書の検認と開封はいつまでに?
遺言書の検認の申立てから検認が終わるまでの期間は、おおむね1か月から2か月程度かかるため、戸籍等の準備ができ次第、「できるだけ早く」時間に余裕をもって、遺言書の検認と開封を進める必要があります。
相続後にすぐやらなければならない死亡届出などの手続きが済んで落ち着いたら、なるべく早く「相続後概ね2週間程度で」で終わらせることがお勧めです。
6.相続の基本の手続き
相続の基本の手続きには、他にも「遺言書の検認と開封」や「相続人の調査と確定」、「相続財産の調査と確定」等があります。
相続の基本の手続きについての詳細は、以下のLink先をご参照ください。
「遺言書の検認と開封」に関する記事はこちら:
・・・・・
「相続人の調査と確定」に関する記事はこちら:
・・・・・
「相続財産の調査と確定(預金・株式)」に関する記事はこちら:
・・・・・
「相続財産の調査と確定(不動産)」に関する記事はこちら:
・・・・・
7.まとめ
以上今回は、「遺言書の基礎知識」や「検認が必要となる遺言書の種類」、「遺言書の検認・開封と内容確認の手順」などについて詳しく解説させていただきました。
遺言書は、被相続人の最終的な意思を反映する極めて重要な書類であり、その取り扱いには細心の注意が求められます。
特に自筆証書遺言(通常)や秘密証書遺言については、勝手に開封することが法律で禁じられており、開封にあたっては家庭裁判所による検認手続きが必要です。
検認は遺言書の有効性を判断するものではありませんが、偽造や紛失、相続人間のトラブルを防ぐ目的があります。検認を怠った場合、相続手続きに支障をきたすだけでなく、過料などの法的リスクも生じます。
一方、公正証書遺言や法務局に保管された自筆証書遺言は、検認手続きが不要なため、手続きがスムーズに進みやすい点が特徴です。ただし、いずれの遺言書も、内容を正しく確認し、相続人や遺言執行者の役割を理解した上で相続手続きを進める必要があります。
万が一、複数の遺言書が見つかった場合や内容に矛盾がある場合には、トラブル防止のため専門家への相談が推奨されます。遺言書の取り扱いを誤らないためにも、事前に必要な知識を身につけ、適切な手続きを踏むことが、円滑な相続の第一歩です。
「江東相続あんしんサポートセンター」では、相談から手続きの完了まで一貫したサポートを行い、相続に関するあらゆる問題を解決致します。
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