№5. 遺言書の有無を確認する方法を詳しく解説!

query_builder 2025/03/26
相続手続き(基本・相続後すぐ)
№5. 遺言書の有無を確認する方法を詳しく解説!

相続手続きを進める上で、遺言書の有無を確認することは非常に重要です。遺言書があるかどうかで相続の進め方が大きく変わるため、正しい手順で確認しなければなりませんが、「遺言書がどこに保管されているのかわからない」「そもそも遺言書が作成されているのかもわからない」というケースも少なくありません。

 

そこで今回は、「遺言書の有無による相続手続きの違い」や「遺言書の種類」、「遺言書の有無の確認方法」などについて詳しく解説します。

 

<遺言書の有無の確認>における手続きのポイント

いつまで

概ね2週間程度で

どこで

自宅や公証役場

1.遺言書の基礎知識

初めに遺言書の基礎知識として、「遺言書とは何か」や「遺言書のメリット」、「遺言書の種類」などを確認します。


(1)遺言書とは?

遺言書とは、被相続人(亡くなった人)が自身の財産をどのように分配するかを指定する法的な書面です。これにより、相続トラブルを防ぎ、スムーズな遺産承継を実現できます。

この遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれ作成方法や保管方法等が異なります。

(2)遺言書を作成するメリット

遺言書を作成することによって、次のようなメリットがあります。

 

メリット

内容

相続トラブルの防止

遺産分割協議の必要がなくなり、相続人同士の争いを避けられる。

自分が希望する通りの財産分配が可能

事業承継や特定の相続人に遺産を多く残したい場合など、柔軟な分配が可能。

手続きがスムーズになる

遺産分割協議が不要になり、相続手続きが簡単に進む。

(3)遺言書の種類


遺言書には、大きく分けて、「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれの作成方法や保管方法等が異なります。

種類ごとの作成方法や保管方法、メリット、デメリットについては、下表の通りです。


       

遺言書の種類

公正証書遺言

自筆証書遺言

秘密証書遺言

通常

保管制度

作成方法

公証役場で公証人が作成

本人が手書きで作成

本人が作成し、公証人に証明してもらう

保管方法

公証役場で保管

自宅等で保管

法務局で保管

自宅等で保管

検認

不要

必要

不要

不要

メリット

・法的に有効で安心。

・紛失のリスクなし。

・手軽に作成できる。

・費用がほとんどかからない。

・手軽に作成できる。

・紛失のリスクなし。

・内容を秘密にできる。

デメリット

費用がかかる(数万円〜)。

・紛失・改ざんのリスクがある。

・不備があると無効になる可能性。

費用が少しかかる(4千円ほど)。

・紛失のリスクあり。

・不備があると無効になる可能性。

(4)各ニーズにあった遺言書の種類

 次のニーズがある人には、以下の遺言書が適合します。

✓相続人同士のトラブルを防ぎたい人:

公正証書遺言がお勧め


✓費用を抑えて簡単に作成したい人:

自筆証書遺言がお勧め


✓簡単に作成した上で、紛失リスクを防ぎたい人:

自筆証書遺言(法務局保管)がお勧め


✓内容を秘密にしたい人:

秘密証書遺言がお勧め

2.遺言書の有無による相続手続きの違い

遺言書がある場合とない場合では、相続手続きの流れが異なります。それぞれのケースについて相続手続きの流れを確認します。

(1)遺言書がある場合の相続手続き


遺言書が見つかった場合、相続手続きは以下の流れで進みます。

 

①遺言書の確認


遺言書の種類を確認し、他の相続人に遺言書があることを伝えます。

また、遺言書の種類が、自筆証書遺言の場合には原則として、家庭裁判所で「検認」手続きを行います。ただし、自筆証書遺言であっても法務局保管の場合には「検認」手続きは不要です。

 

②遺言の執行


遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者が相続登記(名義変更)や財産の分配を進めます。

一方で、遺言執行者が指定されていない場合には、相続人全員が遺言の内容に納得し、手続きに協力的であれば、遺言執行者を指定・選任しなくても特段の支障がないといえます。

ただし、相続人の中に法定相続分よりも多くの財産を相続する人がいる場合や、相続人以外の人に財産を渡す旨の記載がある場合等においては、相続人・受遺者間でもめる可能性があるため、家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てた方がスムーズに遺言内容を実現できる可能性があります。

遺言執行者を指定しない場合には、相続人が協力して、相続登記(名義変更)や財産の分配を進めます。

 

③相続税の申告・納付


相続する財産について、相続税法上の評価を行い、必要に応じて、相続税の申告・納付を行います。


(2)遺言書がない場合の相続手続き

遺言書がない場合は、法定相続に従って手続きを進めることになります。

 

①相続人の確定


被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を揃え、法定相続人を確定します。

 

②相続財産を漏れなく調査する


不動産や預貯金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も調査を行います。仮にマイナスの財産の方が多い場合には、死亡したことを知った時から3か月以内に相続放棄の申述を家庭裁判所に対して行います。

 

③遺産分割協議

 

①で確定した相続人全員により、②で調査した財産について、誰がどの財産を相続するのか協議を行います。また、協議の結果を遺産分割協議書という書面にして、相続人全員により署名・実印による押印をし、印鑑証明書を添えて協議が調ったことを証明します。

 

④相続登記・財産の分配


戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書をもって法務局や金融機関等に対して名義変更の手続きを行います。

また、解約した預貯金等については、遺産分割協議の内容に基づいて、分配を行います。

 

⑤相続税の申告・納付


相続する財産について、相続税法上の評価を行い、必要に応じて、相続税の申告・納付を行います。

3.遺言書の有無の確認方法

遺言書が作成されているかどうかを確認する方法は、遺言書の種類によって異なります。ここでは、それぞれの確認方法を詳しく説明します。


(1)公正証書遺言の有無を確認する方法

公正証書遺言書は、公証役場で作成することができる、もっとも信頼性が高い遺言書です。

この公正証書遺言の有無は、全国の公証役場で検索することができます。

具体的な手順は次の通りです。

 

ステップ1:被相続人の遺品を確認する

 

公正証書遺言書の原本は公証役場に保管されますが、正本・謄本は作成者本人に渡されるため、まずは、被相続人が遺言書を保管していそうな、自宅や金庫等を探します。

 

ステップ2:最寄りの公証役場に問い合わせる

 

まずは、被相続人が遺言を作成していた可能性のある公証役場に連絡します。また、どの公証役場で作成されたか分からない場合には、全国の公証役場で一括検索ができるため、最寄りの公証役場に連絡します。

 

なお、近隣の公証役場は、以下の日本公証人連合会のサイトから調べることができます。

公証役場一覧 | 日本公証人連合会

 

ステップ3:必要書類を準備する

 

公証役場で公正証書遺言の有無を調べるためには、以下の書類が必要となります。

必要書類

取得方法

被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本

市区町村役場で取得

申請者(相続人)の戸籍謄本

市区町村役場で取得

申請者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)

運転免許証センター・市区町村役場

 

なお、相続人以外は検索できないため、必ず相続人が申請する必要があります。

 

ステップ4:公証役場で検索依頼をする

 

公証役場に上記の必要書類を持参し、 「公正証書遺言検索システム」 を利用して、検索依頼を行います。このシステムでは、 全国の公証役場で作成された遺言書の有無を確認できます。

なお、「公正証書遺言検索システム」では、即日での検索も可能なため、検索結果は長くても1週間以内に分かります。

(2)自筆証書遺言の有無を確認する方法

自筆証書遺言書は、自らが手書きで作成する遺言書です。公正証書遺言書と違い、公証役場で保管されるわけではなく、自宅や貸金庫、法務局などに保管されている可能性があります。

この自筆証書遺言書の有無を確認する具体的な手順は次の通りです。

 

ステップ1:被相続人の遺品を確認する

 

まず、被相続人の自宅や金庫を調査します。自筆証書遺言は手元に保管されていることが多いため、次のような場所を重点的に探します。

 

✓金庫や重要書類の保管場所(例:書斎の机、クローゼット)

✓預貯金通帳や印鑑が保管されているケース

✓本棚や本の間、引き出しの奥

 

遺品の確認は、遺言の書き換えなどを疑われないように、また探し漏れがないように、なるべく複数人で行うことをお勧めします。

 

ステップ2:貸金庫を確認する

 

被相続人が銀行の貸金庫を利用していた場合、そこに遺言書が保管されている可能性があります。

 

<貸金庫の確認手順>

①被相続人の取引銀行を調べる(通帳やキャッシュカードを確認)

②銀行に問い合わせ、貸金庫の有無を確認

③相続人であることを証明する書類を提出し、貸金庫を開封

 

なお、貸金庫を開ける際には、銀行から相続人全員の同意が求められる場合もあります。

 

ステップ3:法務局で保管の有無を確認する

 

2020年7月から 「自筆証書遺言書保管制度」 が導入されており、被相続人が生前に法務局で遺言書を保管している可能性があります。

 

<法務局での確認手順>

①最寄りの法務局に問い合わせ、遺言書の有無を確認(全国の法務局で検索可能)

②必要書類を準備し、開示請求を行う

③遺言書が見つかった場合、内容を確認し、相続手続きを進める

 

なお、「自筆証書遺言書保管制度」には「通知制度」があり、遺言者が指定者を登録(最大3名)していると、遺言者の死亡届を受け付けた市区町村から連絡を受けた法務局が指定者に対して、「遺言書が保管されている旨」が通知されます。

 

また、自筆証書遺言書が法務局で保管されている場合には、遺言書の検認は不要となります。

(3)秘密証書遺言の有無を確認する方法

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られずに作成できる遺言書です。
公正証書遺言のように公証人が内容を確認するわけではなく、公証役場で「遺言書の存在を証明」してもらう仕組みとなっているため、秘密証書遺言はどこに保管されているかが分からなくなるリスクがあります。

 

この秘密証書遺言書の有無を確認する具体的な手順は次の通りです。

 

ステップ1:自宅を徹底的に調査する

 

秘密証書遺言書は、本人が保管するため、まずは、自宅を徹底的に調べる必要があります。

例えば、次のような場所を重点的に探します。

 

✓金庫や重要書類の保管場所(例:書斎の机、クローゼット)

✓預貯金通帳や印鑑が保管されているケース

✓本棚や本の間、引き出しの奥

 

見つかりにくい場所にあることも多く、一見関係なさそうなものであっても怪しそうなものは漏れなくチェックをする必要があります。

 

ステップ2:公証役場で秘密証書遺言の証明を確認する

 

秘密証書遺言は 公証役場で証明されている可能性があるため、公証役場に確認を行います。

 

<公証役場での確認手順>

①最寄りの公証役場に問い合わせ、秘密証書遺言の証明があるかを確認

②必要書類(戸籍謄本・本人確認書類)を提出し、照会手続きを行う

 

公証役場で証明が見つかれば、少なくとも秘密証書遺言が存在していたことは確認できますが、公証役場に遺言書の原本は保管されていないため、最終的には、実物を探す必要があります。

 

 

ステップ3:銀行の貸金庫を確認する

 

秘密証書遺言は 銀行の貸金庫に保管されているケースも多いことから、銀行に問い合わせを行います。

 

<貸金庫の確認手順>

①被相続人の取引銀行を調べる(通帳やキャッシュカードを確認)

②銀行に問い合わせ、貸金庫の有無を確認

③相続人であることを証明する書類を提出し、貸金庫を開封

 

なお、貸金庫を開ける際には、銀行から相続人全員の同意が求められる場合もあります。

4.遺言書の有無の確認はいつまでに?

遺言書の有無の確認の時期(タイミング)は「できるだけ早く」が原則ですが、遺産分割協議をするか否か判断するために、相続後にすぐやらなければならない死亡届出などの手続きが済んで落ち着いたら、なるべく早く「相続後概ね2週間程度で」で終わらせることがお勧めです。

 

また、遺言書の検認作業がある場合、遺言書の検認の申立てから検認期日までの期間は、おおむね1か月から2か月程度もかかるため、時間に余裕をもって進めることが重要です。

 

なお、遺産を分割した後に遺言書を発見した場合には、遺産の分割をやり直す必要があるため、注意が必要です(相続人全員が納得している場合は、分割し直す必要はなし)。

5.相続の基本の手続き

相続の基本の手続きには、他にも「遺言書の検認と開封」や「相続人の調査と確定」、「相続財産の調査と確定」等があります。

 

相続の基本の手続きについての詳細は、以下のLink先をご参照ください。

 

「遺言書の検認と開封」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続人の調査と確定」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続財産の調査と確定(預金・株式)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続財産の調査と確定(不動産)」に関する記事はこちら:

・・・・・

6.まとめ

以上今回は、「遺言書の有無による相続手続きの違い」や「遺言書の種類」、「遺言書の有無の確認方法」などについて詳しく解説させていただきました。

 

相続手続きをスムーズに進めるためには、遺言書の有無を確認することが非常に重要 です。遺言書がある場合とない場合では相続の進め方が異なり、遺言書の種類ごとに確認方法も異なります。

 

✓公正証書遺言書:

公証役場で作成されており、全国の公証役場で検索可能。公証役場で必要書類を提出すれば、遺言書の有無を確認できます。


✓自筆証書遺言書:

自宅・貸金庫・法務局などに保管されている可能性があり、相続人が遺品や銀行の貸金庫を調査する必要があります。2020年以降に作成された法務局保管の自筆証書遺言書は、法務局で検索可能です。


✓秘密証書遺言:

遺言書の存在自体は公証役場で証明されますが、原本は本人が保管するため、自宅や貸金庫を徹底的に調査する必要があります。

 

遺言書の有無を確認する作業は 複雑で見落としが許されない重要な手続きです。公証役場や法務局への問い合わせ、貸金庫の調査など、適切な手続きを踏まなければならず、相続人だけで対応すると手間や時間がかかることがあります。

また、遺言の内容に法的な不備がある場合 や 相続人同士で意見が対立する場合にも、トラブルを防ぐために専門家のサポートが不可欠です。

 

「江東相続あんしんサポートセンター」では、相談から手続きの完了まで一貫したサポートを行い、相続に関するあらゆる問題を解決致します。

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江東相続あんしん手続きサポート

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