№3.相続財産の調査と確定(不動産)をスムーズに進める方法

query_builder 2025/01/06
相続手続き(基本・相続後すぐ)
№3.相続財産の調査と確定(不動産)をスムーズに進める方法

相続が発生した際、財産の調査と確定はスムーズな手続きを進める上で欠かせないステップです。特に不動産は価値が高く、相続税の計算にも大きく影響するため、適切に対応することが求められます。

そこで、本記事では、相続財産のうち、不動産に焦点をあて、「相続財産調査の概要」や「調査の手順・注意点」「いつまでにやるべきか」などについて詳しく解説します。


<相続財産の調査と確定(不動産)>における手続きのポイント

いつまで

概ね2か月程度で

どこで

法務局、市区町村、地主・家主、不動産管理会社

1.「相続財産の調査」の概要

始めに「相続財産の調査」の概要として、「相続財産を調査する目的」や「調査対象となる主な財産の種類」、「隠れた財産を見逃さないための方法」などを確認します。

(1)相続財産を調査する目的とは?

相続財産を調査する目的は、以下のような重要なポイントを確認するためです。

✓相続財産の全容を把握する

何がどれだけあるかを明確にする。


✓相続税の申告を適切に行う

税務上のトラブルを防ぐ。


✓公平な分割を行う

遺産分割協議を円滑に進める。

 

財産の種類によって手続きの流れや注意点が異なるため、詳細な調査が求められます。

(2)調査対象となる主な財産の種類

相続財産の調査対象となる主な財産は次の4つです。

 

財産の種類

具体例

不動産

土地、建物、マンション

金融資産

預金、株式、投資信託

動産

車、貴金属、美術品

債務

借入金、未払金

特に不動産は、物理的な確認が必要であり、評価額の算定も複雑な場合が多いです。


(3)隠れた財産を見逃さないための方法

財産調査では、隠れた財産を見逃さないことが重要です。

次のような方法を活用することで、財産の把握漏れがないようにします。

 

✓通帳や取引明細の確認

金融機関からの入出金記録を調べる。


✓過去の税務申告書の確認

申告時に計上された財産を見直す。


✓役所での調査

固定資産税や名寄帳を確認する。


✓専門家の活用

相続の専門家である税理士や弁護士に相談する。


(4)調査を怠った場合に起こるリスク

相続財産の調査を怠ると、以下のようなリスクが発生します。

 

✓財産漏れによる遺産分割トラブル
遺産が後から見つかった場合、遺産分割をやり直す必要があります。これが原因で親族間の争いに発展することも。


✓追徴課税の発生リスク
把握していなかった財産が申告漏れとなっている場合には、相続税や加算税等の追徴課税が発生する恐れがあります。


✓予期しない債務の負担

未払いの借入金や保証債務が後から発覚した場合に、予期しない債務を負担する可能性があります。(始めから把握していれば相続放棄も検討できます)

(5)財産一覧を相続税法上の評価額で先に作成


遺産分割の際に用いる評価額には時価を採用することが一般的ですが、財産調査の際は、相続税法に基づく評価額で財産一覧を先に作成することがお勧めです。

相続税法に基づく評価額で財産一覧を作成することで、相続税の申告が必要となるのか早めに判断することができ、また、弁護士や税理士との相談の際にも効率的に手続きを進めることが可能となります。

 

相続税法の評価額は、次のように算定します。

✓不動産:路線価や固定資産税評価額

✓金融資産:預金残高や株式の時価

✓動産:市場価格や査定額

(6)財産調査は「預貯金」⇒「借金」⇒「不動産」⇒「その他の財産」の順で進める

財産調査は、「預貯金」⇒「借金」⇒「不動産」⇒「その他の財産」の順で進めることをお勧めします。


始めに預貯金について調べた方がいいのは、預貯金の取引履歴から、他の財産情報も発見できて効率よく進められるためです。

次に借金について調べた方がいいのは、相続放棄の期限は3ヶ月のため、早めに借金の有無を確認することで、相続放棄の判断を早期に行うことができるためです。

その次に不動産について調べた方がいいのは、不動産には、「評価額を算定」というプロセスがあり、そこに時間がかかるためです。

2.不動産の調査の手順と注意点

ここでは、不動産を調査するための手順(「固定資産税納税通知書」と「権利証(登記識別情報)」を探し、「名寄帳」を取得する)と、その際に注意すべき点などを確認します。

(1)「固定資産税納税通知書」と「権利証(登記識別情報)」を探す

不動産の調査を始める際には、まず「固定資産税課税明細書」と「権利証(登記識別情報)」を次の手順で探すことが重要です。

 

①家庭内における保管場所を確認

多くの場合、これらの書類は家庭内の重要書類が保管されている場所にあります。

例えば、金庫や書類棚が候補となります。

 

②家族に確認

書類が見つからない場合、他の家族に心当たりがないかどうか確認します。家族が異なる場所に保管していることも少なくありません。

 

③市役所や法務局で再発行を依頼

書類がどうしても見つからない場合には、市役所で「固定資産税納税通知書」を、法務局で「権利証(登記識別情報)」の代わりとなる登記事項証明書を取得することが可能です。

 

【参考1】権利証と登記識別情報の違い

 

お、権利証は、不動産登記法が改正される前に発行されていた書類で、登記識別情報は不動産登記法改正により導入された新しい形式の証明方法で、下表のような違いがあります。


 

項目

権利証

登記識別情報

発行開始時期

2005年以前

2005年以降

形式

紙の書類

12桁の英数字のパスワード

紛失時の対処方法

再発行不可

再発行不可

セキュリティ

書類の物理的管理が必要

電子的管理が可能

 


【参考2】固定資産税課税明細書のサンプル






固定資産税課税明細書は、所有する不動産がある市町村から毎年45月に固定資産税納税通知書と一緒に送付されてきます。




【参考3】権利証のサンプル





 

【参考4】登記識別情報のサンプル>

 


(2)名寄帳を取得する


次に「名寄帳」を次の手順で取得します。


「名寄帳」は、不動産の所有状況を一目で確認できる便利な書類で、1つの市区町村に所有する全ての不動産が把握できるため、財産の見落としを防ぐことができます。

そのため、「固定資産税納税通知書」と「権利証(登記識別情報)」が手許にある場合でも取得することをお勧めします。

 

取得の流れは次の通りです。

 

①市役所や町役場で申請

名寄帳は市町村の役所で発行されます。申請の際には、申請者が相続人であることを示す戸籍謄本や身分証明書が必要となります。

 

②記載内容を確認する

名寄帳には、所有する土地や建物の一覧が記載されています。

例えば、山林など普段目にしない財産が含まれていることもあるため、見逃しがないように確認します。

(3)共有の場合には固定資産税納税通知書が届いていない可能性に注意

不動産を共有している場合には、代表者に対してのみ、固定資産税納税通知書が送付されることが多いです。

代表者は別途届出をしていない場合、共有持ち分の多い人などに送られるため、共有持ち分が少ない人には、固定資産税納税通知書が届いていない可能性もあることから注意が必要です。

なお、名寄帳についても、単独所有と共有所有とで別々に作成されることから、申請時に注意が必要です。



(4)別荘や共有私道に注意

別荘や共有私道など、特定の種類の不動産は見落としやすいです。そのため、固定資産税納税通知書に別荘や共有私道が記載されていないか確認します。


(5)担保にしていないか注意

不動産が担保に設定されている場合、相続手続きに影響を及ぼします。そのため、次の手順で担保にしていないか確認します。

 

①登記事項証明書を取得

法務局で登記事項証明書を取得し、抵当権や根抵当権が設定されていないか確認します。

 

②金融機関に問い合わせる

担保設定が判明した場合、金融機関に連絡し、債務の状況や相続人が負担する可能性を確認します。

4.相続財産(不動産)の調査と確定はいつまでに?

相続財産の調査と確定の時期(タイミング)は「できるだけ早く」が原則です。

相続後3ヵ月以内に相続財産の「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」のいずれかを判断する必要があるため、相続後にすぐやらなければならない死亡届出などの手続きが済んで落ち着いたら、速やかに着手し、相続後2カ月程度で終わらせることがお勧めです。

 

相続財産の調査と確定には、ある程度の時間と手間がかかるため、時間に余裕をもって進めることが重要です


5.相続の基本の手続き

相続の基本の手続きには、「相続財産の調査と確定(不動産)」の他にも、「相続財産の調査と確定(預金・株式)」や「相続財産の調査と確定(その他の財産)」等があります。

 

届出・手続きの内容

期限

届出・手続きの窓口など

相続人の調査と確定

概ね1か月程度で

市区町村役場

相続財産の調査と確定(預金・株式)

概ね2か月程度で

銀行・信用金庫・信用組合・農協、信託会社、証券会社

相続財産の調査と確定(不動産)

概ね2か月程度で

法務局、市区町村、地主・家主、不動産管理会社

相続財産の調査と確定(その他の財産)

概ね2か月程度で

生命保険会社、ゴルフ場、勤務先・会社、債権者など

遺言書の有無の確認

概ね1か月程度で

自宅や公証役場

遺言書の検認と開封

戸籍等の準備ができ次第

家庭裁判所

相続方法の決定(相続放棄・限定承認の申立て)

3カ月以内

家庭裁判所

遺産分割協議の実施

相続人と相続財産が確定でき次第

法定相続人間で

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が終わり次第

法務局

遺産分割の調停と審判

遺産分割が整わない場合は速やかに

家庭裁判所

 

相続の基本の手続きについての詳細は、以下のLink先をご参照ください。

 

「相続財産の調査と確定(預金・株式)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続財産の調査と確定(その他の財産)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続人の調査と確定」に関する記事はこちら:

・・・・・

6.まとめ

今回の記事では、相続財産のうち、不動産に焦点をあて、「相続財産調査の概要」や「調査の手順・注意点」「いつまでにやるべきか」などについて詳しく解説させていただきました。

 

相続財産の調査と確定は、相続手続きの中でも極めて重要なステップです。特に不動産は価値が高く、相続税や分割協議における基盤となるため、迅速かつ正確な対応が求められます。

 

スムーズな手続きを進めるためのポイントは次の通りです。

①相続財産の全容を把握する:

相続税の申告漏れや、財産分割のトラブルを防ぐために、相続財産の全体像を明らかにすることが最初のステップです。不動産や金融資産、動産などの主要な財産をリスト化し、漏れがないか確認します。


②適切な調査方法を選択する:

書類の確認や名寄帳の取得、登記事項証明書を活用するなど、効果的な方法を用いることで、調査の効率が上がります。例えば、名寄帳を取得すれば、一つの市町村内の不動産を一覧で把握することが可能です。


③専門家のサポートを活用する:

税理士や弁護士などの専門家の力を借りることで、複雑な不動産の評価や権利関係の整理をスムーズに行えます。専門知識を活用すれば、手続きミスによるリスクを減らすことができます。

 

相続財産の調査と確定は手間がかかるものの、適切に進めれば相続税の申告や遺産分割協議がスムーズに進みます。本記事で紹介した方法を参考に、一歩ずつ着実に対応してください。

必要に応じて専門家に相談し、安心して手続きを進めましょう。

 

「江東相続あんしんサポートセンター」では、相談から手続きの完了まで一貫したサポートを行い、相続に関するあらゆる問題を解決致します。

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