№1.相続人の調査と確定とは?専門家が手順と注意点を解説!

query_builder 2024/12/26
相続手続き(基本・相続後すぐ)
№1.相続人の調査と確定とは?専門家が手順と注意点を解説!

相続手続きにおいて「相続人の調査と確定」は最も重要なステップです。この手続きを正確に行わないと、後々にトラブルを招く可能性があります。

 

江東相続あんしんサポートセンターでは、「何を」「いつまでに」「どこに」届出や手続きを行えばいいのか、110種類の相続手続きガイドを整理しています。

 

今回の記事では、「相続の基本の手続き」の中から、「相続人の調査と確定するための手続き」に関して、「相続人の調査方法(具体的な手順)」や「戸籍の特徴」、「相続人の確定方法」などを解説します。

<相続人の調査と確定>における手続きのポイント

いつまで

概ね1か月程度で

どこで

市区町村役場

1.相続人の調査と確定が必要な理由

相続手続きにおいて「相続人の調査と確定」は最も重要なステップで、遺産分割や相続税の申告を正しく行うための前提条件となります。

 

仮に相続人を確定せずに手続きを進めると、次のようなリスクが生じます。

✓遺産分割協議の無効化:

全ての相続人が協議に参加していない場合、協議そのものが無効になり、新たに協議を行う必要があります。

✓税務リスク:

相続税申告に不備が生じ、追徴課税が科される可能性があります。

✓法的トラブル:

後から新たな相続人が現れると、分割済みの遺産について問題となり、例えば、金銭の支払請求を受けることがあります。

2.相続人の調査方法(具体的な手順)

実際の相続人の調査は、以下の手順で進めます。

 

(1)被相続人の本籍地を調査する

(2)被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得する

(3)相続人の戸籍謄本を取得する

 

詳細は以下の通りです。

(1)被相続人の本籍地を調査する

被相続人の配偶者がご存命の場合には、住所地の市区町村で「(本籍地の記載のある)住民票の写し」を取得することで本籍地を確認することができます。

また、ひとり暮らしだった被相続人の本籍地がわからない場合には、被相続人が住んでいた住所地の市区町村で「(本籍地の記載のある)住民票の除票」を取得することで本籍地を確認することができます。

 

なお、「住民票」や「住民票の除票」を請求する際には、本籍地を記載するかどうかのチェック欄にチェックを入れることを忘れないように注意が必要です。


(2)被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得する

被相続人の本籍地が分かったら、次に被相続人の戸籍を遡って相続人を調査します。

まずは、相続人第1順位である子どもの有無と人数を確定させる必要がありますが、除籍した子どもの情報は新しい戸籍には引き継がれないことから、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全て揃えないと、子どもがいるかいないか、何人いるのかが確定できません。

 

そのため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を被相続人の本籍地の市区町村役場で取得する必要があります。

なお、戸籍は転籍・結婚・離婚・改製のたびに新しく作成されるため、戸籍が作られたそれぞれの市区町村役場で取得する必要があり、平均して5つほどの戸籍が必要になります。被相続人が転居を繰り返していると、多くの戸籍が必要となり、かなり面倒な作業となります。

 

戸籍の取得方法や必要書類は以下の通りです。

<戸籍の取得方法>


 

方法

メリット

デメリット

窓口取得

その場で取得できる

本籍地の役所まで行く必要がある

郵送請求

遠方の役所に対応可能

時間がかかる(1週間程度)

オンライン請求

手間がかからない

・利用にはマイナンバーカードが必要

・一部の自治体でのみ可能




戸籍収集は時間がかかるため、早めに開始することが重要です。

 

<戸籍取得の必要書類>

✓戸籍等の発行申請書

✓請求者の身分証明書(運転免許証やパスポート等)

✓定額小為替(郵送請求の場合)

✓本人の作成した委任状(代理人・使者が申請する場合


(3)相続人の戸籍謄本を取得する

上記(2)で相続人が確定できる場合もありますが、相続関係が確定できない場合には、引き続き、相続人の本籍地の市区町村役場で戸籍収集が必要となります。

 

仮に相続人が確定できている場合であっても、相続人の戸籍謄本は以後の相続手続きで必須となるため、相続人調査の際に揃えておくことが効率的です。

 

取得が必要となる戸籍謄本の範囲は、次の通りです。

なお、相続人の本籍地が分からない場合には、上記(1)と同じように相続人の住所地の市区町村で「(本籍地の記載のある)住民票の写し」を取得します。

 

<必ず必要となる戸籍謄本】

✓相続人全員分の現在の戸籍謄本

 

<該当する場合に必要となる戸籍謄本】

①先に亡くなっている子ども(およびその代襲者)がいる場合

✓亡くなった子ども(およびその代襲者)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

 

②被相続人に存命の子ども(およびその代襲者)がいない場合

✓親の片方が先に亡くなっている場合、親の死亡が記載されている戸籍謄本

✓両親とも先に亡くなっており、祖父母で存命な者がいる場合、両親と亡くなった祖父母の戸籍謄本

 

③亡くなった人に存命の子ども(およびその代襲者)と両親(直系尊属)がいない場合

✓両親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

✓直系尊属の死亡が記載されている戸籍謄本(ただし120歳を超える場合は必要ないと見なされている)

✓亡くなった人の兄弟姉妹で、先に亡くなっている者がいる場合、亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

✓前項のうち、代襲者である甥姪で先に亡くなっている者がいる場合、亡くなった甥姪の死亡が記載されている戸籍

3.相続人調査が難しい理由(戸籍の特徴)

相続人の調査においては、戸籍謄本を丁寧に慎重に読み解くことが求められますが、慣れていないと、難しく、非常に時間が掛かる面倒な作業となります。

 

相続人調査が難しい理由として、次の4つの事項が挙げられます。


(1)戸籍の形式によって記載内容と記載方法が違う

戸籍の形式として、古くは「明治19年式戸籍」や「明治31年式戸籍」、「大正4年式戸籍」に始まり、「昭和23年式現行戸籍」「コンピュータ化された現行戸籍」といったものに分けられます。

それぞれの戸籍ごとに記載内容と記載方法が違うことから、これらを理解していないと、相続人調査が難しくなります。


(2)古い戸籍は手書きで判読しづらい

「明治19年式」や「明治31年式」、「大正4年式」の戸籍は、手書きの上に毛筆体で書かれていることから、見慣れない人が読むと何が書いてあるのか分からないことが多く、さらに書き手の字が下手な場合には、さらに判読に苦労することになります。


(3)戸籍にはいくつかの種類がある

戸籍の種類には、「現在戸籍」や「除籍」、「原戸籍」の3種類があります。それぞれの種類の違いは下表の通りです。

 

現在戸籍(=現戸籍)

現在戸籍とは、その名の通り現在存在している戸籍のこと。

除籍

除籍とは、戸籍に記載されている人全員が死亡や結婚、本籍地の移転(転籍)などによって、その戸籍(本籍地)に誰も居なくなり、閉鎖された戸籍のこと。

原戸籍(げんこせき・はらこせき)
(=改製原戸籍)

法律の改正で戸籍の様式が変わることがあり、原戸籍とは、新しい戸籍に変わるまで使われていた古い戸籍のこと。

実務上、昭和32年の法務省令による原戸籍を「昭和原戸籍」、平成6年法務省令による原戸籍を「平成原戸籍」と呼んでいる。


また、戸籍を正しく理解するためには「謄本」や「抄本」、「附票」などの違いも押さえておく必要があります。それぞれの違いは下表の通りです。

 

戸籍謄本

(戸籍全部事項証明書)

戸籍謄本とは、戸籍内に記載されているすべての内容を写したもので、その戸籍に入っている配偶者や子どもまで全員の情報が載ったもの。

戸籍抄本(しょうほん)
(個人事項証明書)

戸籍抄本とは、戸籍謄本の一部を抜き出したもので、その戸籍に記載されている一部の人の情報が載ったもの。

戸籍の附票

戸籍の附票とは、本籍地の筆頭者の住所の移り変わりが記載されたもの。役所に住所変更をした際に、この附票に新しい住所が追加されていくことになっています。

 

なお、相続において、基本的に必要となるものは「謄本」です。

(4)今は存在しない地名がでてくる

戸籍には、今では存在しない地名(市町村合併等により消滅した地名)がでてくることは珍しくはありません。

その古い地名が現在のどの市町村にあるのか、ネット検索などである程度のところまで絞り、可能性のある複数の市町村役場に電話で問い合わせすることで解決することが多いです。

 

仮に役所でわからなかった場合には、管轄している法務局の支局に問い合わせることで解決することもあります。


4.相続人の確定方法

相続人を確定するためには、「法定相続人」を理解することが重要です。

「法定相続人」を理解した上で、戸籍謄本から親族関係を確認し、遺言書の有無を確認することで相続人を確定します。


(1)法律で定められた「法定相続人」とは?

「法定相続人」とは、民法で定められた相続権を持つ人のことです。基本的な順位と範囲は下表の通りです。

法定相続人の順位

相続権の対象となる人

第1順位

配偶者と子供

第2順位

配偶者と直系尊属(両親・祖父母)

第3順位

配偶者と兄弟姉妹


<ポイント>

配偶者は常に相続人となり、他の順位の人と同時に相続する形となります。

(2)戸籍謄本をもとに親族関係を確認

被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本をもとに被相続人の親族関係を読み解き、配偶者・子供・直系尊属(両親や祖父母)・兄弟姉妹の中から、誰が法定相続人になるのかを確定させます。

 

<ポイント>

✓配偶者:常に相続人になります。

✓子供:認知した子供、前妻(前夫)の子供、養子も含めて確認が必要です。また、離婚した場合でも子供との法的な親子関係は続いていることに注意が必要です。

✓直系尊属:親や祖父母が生存している場合に該当します。

✓兄弟姉妹:子供や直系尊属がいない場合に対象となります。

(3)遺言書の有無を確認

遺言書がある場合には、被相続人の遺言書で指定された人が相続人になるため注意が必要です。

なお、仮に遺言書による相続人の中に法定相続人が含まれていなかった場合、その法定相続人に対しては、「遺留分」と呼ばれる取り分が留保され、遺留分減殺請求をすれば法定相続人も遺産を受け継ぐことができることになります。この「遺留分」については、被相続人も指定することはできません。


5.相続人の確定はいつまでに?

相続人の確定の時期(タイミング)は「できるだけ早く」が原則です。

遅くとも遺産分割協議を開始するより前にする必要があるため、相続後にすぐやらなければならない死亡届出などの手続きが済んで落ち着いたら、速やかに着手し、相続後1か月から1.5カ月程度で終わらせることがお勧めです。

 

相続人の確定には、ある程度の時間と手間がかかるため、時間に余裕をもって進めることが重要です。


6.相続人調査のよくあるトラブルと対応策

ここでは、相続人調査のよくあるトラブルと対応策として、「失踪している相続人への対応」や「法定相続人以外の人が遺産を主張する場合の対応」などを確認します。


(1)失踪している相続人への対応

相続人の中に長期間連絡が取れない失踪者がいる場合には、手続きが滞る可能性があります。

このようなケースでは、次の手順を踏む必要があります。

 

①家庭裁判所への失踪宣告申請

失踪期間が7年以上の場合には、家庭裁判所に失踪宣告を申請できます。

(例)遠方に移住した親族と10年間連絡が取れない場合、この手続きが適用されます。

 

②失踪宣告後の影響

宣告が認められると、失踪者は法的に死亡したものと見なされ、相続手続きが進められます。

 

③注意点

失踪宣告が取り消される可能性もあるため、慎重な手続きが求められます。

(2)法定相続人以外の人が遺産を主張する場合の対応

相続手続きの中で、法定相続人ではない親族や第三者が遺産相続を主張するケースがあります。この場合の対応方法は下表の通りです。

 

主張者のタイプ

対応方法

内縁の配偶者

遺言書がない場合、相続人としては認められないが、内縁の配偶者自身が家庭裁判所に「特別縁故者に対する財産分与の申立て」手続きを行うことができる。

非嫡出子(婚姻関係がない男女の間で生まれた子ども)

認知が証明されていれば、法定相続人として認められる。

遺言書で指定された第三者

遺言書の有効性を確認し、法的手続きを進める。


(3)相続手続きは専門家への相談がお勧め

相続人が失踪している場合や法定相続人以外の人が遺産を主張する場合はもちろん、通常の相続手続についても相続の専門家(弁護士・司法書士・行政書士・税理士)へ相談することをお勧めします。

 

相続手続について、相続の専門家のサポートを受けることで次のメリットがあります。

 

✓正確性の向上:法律や書類の不備を防ぐことができる。

✓時間の短縮:調査や手続きが迅速に進められる。

✓トラブル防止:法的トラブルを未然に防ぐアドバイスが受けられる。


7.相続の基本の手続き

相続の基本の手続きには、「相続人の調査と確定」の他にも、「相続財産の調査と確定」や「遺言書の有無の確認」等があります。

 

届出・手続きの内容

期限

届出・手続きの窓口など

相続人の調査と確定

概ね1か月程度で

市区町村役場

相続財産の調査と確定(預金・株式)

概ね2か月程度で

銀行・信用金庫・信用組合・農協、信託会社、証券会社

相続財産の調査と確定(不動産)

概ね2か月程度で

法務局、市区町村、地主・家主、不動産管理会社

相続財産の調査と確定(その他の財産)

概ね2か月程度で

生命保険会社、ゴルフ場、勤務先・会社、債権者など

遺言書の有無の確認

概ね1か月程度で

自宅や公証役場

遺言書の検認と開封

戸籍等の準備ができ次第

家庭裁判所

相続方法の決定(相続放棄・限定承認の申立て)

3カ月以内

家庭裁判所

遺産分割協議の実施

相続人と相続財産が確定でき次第

法定相続人間で

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が終わり次第

法務局

遺産分割の調停と審判

遺産分割が整わない場合は速やかに

家庭裁判所


「相続財産の調査と確定」や「遺言書の有無の確認」については、以下のLink先をご参照ください。

 

「相続財産の調査と確定(預金・株式)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続財産の調査と確定(不動産)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「相続財産の調査と確定(その他の財産)」に関する記事はこちら:

・・・・・

 

「遺言書の有無の確認」に関する記事はこちら:

・・・・・


8.まとめ

今回の記事では、「相続の基本の手続き」の中から、「相続人の調査と確定するための手続き」に関して、「相続人の調査方法(具体的な手順)」や「戸籍の特徴」、「相続人の確定方法」などを解説させていただきました。

 

相続人の調査と確定は、相続後落ち着いたら、速やかに着手し、相続後1か月から2カ月程度で終わらせることがお勧めです。

 

相続手続きにおいて「相続人の調査と確定」は、遺産分割や相続税申告を正しく行うための必須作業です。この手続きを怠ると、遺産分割協議の無効化や税務リスク、後々の法的トラブルが発生する可能性があります。

 

相続人調査の手順は次の通りです。

①被相続人の本籍地を調査

②被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得して調査

③相続人の戸籍謄本を取得し、親族関係を明確にする

 

相続人の確定に関して、民法で定められた「法定相続人」には順位があり、配偶者は常に相続人となります。子供、直系尊属、兄弟姉妹が法定相続人となる場合があります。

また、遺言書がある場合にはその内容も考慮して、相続人を確定させます。

 

相続手続きが複雑な場合やトラブルが予見される場合は、専門家に相談することで手続きの正確性や効率性が向上し、トラブルの未然防止が期待できます。

 

「江東相続あんしんサポートセンター」では、相談から手続きの完了まで一貫したサポートを行い、相続に関するあらゆる問題を解決致します。

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